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宮崎地方裁判所 昭和38年(ワ)192号 判決 1964年3月30日

主文

被告は原告に対し金一〇七、四〇〇円及び内金三二、一四〇円に対する昭和三五年一一月八日から、内金七五、二六〇円に対する昭和三六年三月三日から右各支払済に至るまで日歩金四銭の割合による金員を支払え。

原告その余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、「被告は原告に対し金一二一、五七〇円及び内金三二、一四〇円に対する昭和三五年一一月八日から内金八九、四三〇円に対する昭和三六年三月三日から右各支払済に至るまで日歩金四銭の割合による金員を支払え。」との趣旨、及び主文第三項同旨の判決を求め、その請求原因として、

一、原告は表記場所に事務所を設け、牛馬豚並びにその飼料等の購入販売とこれに附帯する事業を行ない、組合員の利益向上を計ることを目的として設立された社団(非法人)であり、定款をもつて代表者その他の事項を定めているものである。

二、原告組合は右事業の一つとして仔豚を他から購入し、これを組合員に貸付け、あらかじめその仔豚の代価を定めておき、組合員は自己の費用をもつてこれを成豚に達するまで飼育し、成豚に達したときは原告がこれを訴外日本蓄産株式会社に売却しその売却代金のうちから前記仔豚の代価を原告組合が取得し、その余を組合員が取得する。そして組合員は別に仔豚一頭につき金二〇〇円の手数料を支払い、又貸付の日から右豚代金が組合に入金済となる日まで日歩金四銭の割合による利息金を支払うこととした。

又原告が組合員に対して売渡す飼料の代金については貸付けた豚の売却の時と定め、右飼料代についても飼料引渡の日から支払済に至るまで、日歩金四銭の割合による利息を支払うことを定めた。

三、原告は被告が組合員であつた当時、被告に対し、

昭和三五年一〇月八日仔豚二頭(代金一三、一八〇円)

同年同月一七日仔豚二頭(代金一一、八五〇円)

同年一一月八日仔豚一頭(代金七、一一〇円)

合計金三二、一四〇円を前記約定にて貸付けた。

また同じく被告に対し昭和三五年一一月一三日から同年一二月一六日までの間合計金二三、一二〇円相当の飼料を前記約定にて売渡した。

被告は前記貸付の仔豚を飼育し、昭和三六年五月に売却したが前記仔豚価格金三二、一四〇円及びこれに対する最後の貸付日である昭和三五年一一月八日から右支払済に至るまで約定の日歩金四銭の割合による利息金、並びに前記飼料代金二三、一二〇円及びこれに対する弁済期後である昭和三六年三月三日から右支払済に至るまで前同割合による利息金の支払をしない。

四、原告は組合員である訴外宮脇森三郎に対し前同約定により昭和三六年三月三日仔豚三頭(代金一九、八八〇円)を貸付けたほか、同日合計金一一、四五〇円相当の飼料を売渡し、同じく組合員である訴外宮脇澄男に対し前記約定により、前同日仔豚三頭(代金二二、八八〇円)を貸付けたほか、同日合計金一二、一〇〇円相当の飼料を売渡した。

そして被告は前同日右訴外人等から右仔豚の飼育を引受けると共に同訴外人等の原告に対する仔豚代金及び飼料代金債務の引受けをし原告にその旨申出たので原告はこれを承諾した。

しかし被告は右豚を飼育し昭和三六年五月に売却したが右仔豚代金合計四二、七六〇円、飼料代金合計二三、五五〇円、総計六六、三一〇円及びこれに対する貸付け日である昭和三六年三月三日から右支払済に至るまで約定の日歩金四銭の割合による利息の支払をしない。

よつて右各金員の支払を求める。

被告主張事実は争う、とのべた。

(立証省略)

被告訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、答弁及び抗弁として、

一、原告は代表者遠矢景蔵の名において本件訴を提起しているが、同人は原告組合を代表して訴訟する資格を有しない。

二、原告請求原因事実中、本件仔豚の代金並びに訴外宮脇森三郎及び同宮脇澄男の購入した飼料代金が原告主張のとおりであることは認める。原告が本件仔豚を借受けたこと及び右訴外人の債務引受をしたことはいずれも否認する。被告は本件仔豚を原告から買受け、また訴外人が原告から買受けたものを更に同訴外人から買受けたものである。また被告が原告から買受けた飼料代は金八、九五〇円である。

三、原告組合は三四名の組合員から成立しているが、その内三三名が昭和三五年一一月から昭和三六年一月までの間に国民金融公庫宮崎支所から一人金三万円ないし金一〇万円位合計金三九八万円を借受け、右借入金の受領方を遠矢景蔵に委任した。ところが右遠矢景蔵は各借受人が原告組合に出資する旨の意思表示をしないのに右金員をあたかも原告組合に出資されたかの如く取扱い原告の資金として仔豚飼料等の買入、販売等をなしために多額の赤字を出した。しかし右仔豚の買入売却、飼料の販売等によつて生じた原告名義の債権は実質は原告の債権ではなく前記金融公庫から融資を受けた者全員の共有に属するものである。従つてたとえ被告に前記債務があるとしても原告はその権利者ではない。

四、本件はすべて卸売商人若しくは小売商人が売却した商品代金債権の請求であるところ、民法第一七三条第一号によつてすでに時効により消滅している、とのべた。

(立証省略)

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